アメリカで原作が出版されたのが1977年。同年夏『スターウォーズ』が公開され(日本は78年)、日本では『宇宙戦艦ヤマト』がブームになり、79年春に『ガンダム』が始まる。原作『エンダ―…』が各国のSF・アニメ・映画に影響を与えたというが、同時多発的に"世界を救うのは少年である"という物語が生まれ、受け入れられたとも考えられる。ただ『エンダ―…』が他と違うのは"世界"というのは自分が属しているところだけではない、という視点を持たせたところだと思う。その視点はジオンやガミラスに肩入れする日本人少年少女の感性に近く、当時のアメリカ、恐らく今のアメリカでも珍しいものだったのではないか。そのあたりを今回の映画化は、巧みなティーン俳優たちのキャスティングで乗り切ったといえる。