1960年代後半。日本はもとより世界中で、変革を求めてスチューデントパワーが炸裂した時代。イタリアでは、学生運動の高まりが労働者にも波及。東西冷戦の下、共産主義陣営、アナキスト、極右のネオファシストらが蠢き合い、デモ隊と警察の衝突による流血事件や列車爆破など、国内の緊張は頂点に達していた。そんな<熱い秋>と呼ばれた季節に終止符を打ったのが、1969年12月12日16時37分に起きた、ミラノのフォンターナ広場に面した全国農業銀行爆破事件だ。死者17名、負傷者88名という歴史的惨劇ながら、未だ事件の犯人は誰一人特定されていない。 当時、爆破現場からわずか300メートルほどの場所にいて、事件を目撃したジョルダーナ監督は、40数年を経た今こそ真実を見つめるべきと映画化を決意。パオロ・クッキアレッリ著「ファンターナ広場の秘密」の中の驚愕の仮設を基に、事件について徹底調査し、まだ存命の関係者がいるにもかかわらず、全てを実名にして、イタリア最大の未解決事件の解明に挑んだ。 映画には、事件を捜査するミラノ県警・公安のカラブレージ警視を主人公に、社会的立場や属する組織の違う数十人の人 ...