「ウォン・カーウァイに発掘され、企画が始まる」『光にふれる』を監督したチャン・ロンジーの短編『ジ・エンド・オブ・ザ・トンネル(天黒)』は、台北映画祭で最優秀短編賞を受賞。ウォン・カーウァイは、そこでチャンの才能に目を留め、ウォンの製作会社のジェット・トーン・フィルムズが、今回の作品の企画を進めた。ウォンによると、台湾にはまだまだ有能な映画製作者が埋もれているとして、彼は台湾映画界の進展を注視しながら、才能あふれる若手監督への支援を惜しまないという。ウォンは4年前、『ジ・エンド・オブ・ザ・トンネル(黒天)』を観た時、その個性的なビジュアルスタイルに深く感銘を受け、チャン監督と協力してこの作品をさらに深め長編として映画化することを決めた。チャン監督とウォン・カーウァイの初コラボレーションにより、『光にふれる』が誕生した。「ホアン・ユィシアンのピアノを聴いた者は誰しも深い感銘を受ける」『光にふれる』は、ホアン・ユィシアンの半生を描いた作品。ホアンは台湾の田舎町で生まれ育ち、生まれつき目が不自由だが、早くから類まれな音楽の才能を見せた。視覚障害のある学生として初めて、国立台湾芸術大学ピアノ科で学士を取得した。やさしい心の持ち主として、彼は広く知られており、またその繊細さゆえ、周囲の人々の心に隠された感情が“見える”という。彼は闇の中で常に耳をすましており、どんなにささいな動きであろうともすべてを吸収する。彼の音楽を見た者、聴いた者は誰しも、深い感銘を受けると言われている。ユィシアンは目が不自由であることを理由に、自分自身や、掲げる目標に制限を設けることはしない。チャン・ロンジー監督は、実に二年の歳月をかけて、実話に基に脚本を新たに執筆。チャン監督は、光や影を駆使してぼやけたシルエットを作り出し、それを通してホアンの記憶や視覚経験の描写を試みた。ユィシアンの情熱的なピアノ演奏がサンドリーナ・ピンナの刺激的なダンスと相まって、観客の心の琴線をさらにふるわせる。「国際的に名高いダンサーや撮影監督が集結」ダンスの描写は、今作の大事な要素の一つ。そのため、国際的に名高いモダンダンスの巨匠、ファンイー・シュウが製作チームに加わった。彼女は映画初出演で、サンドリーナの指導者役を演じる。シュウの素晴らしいダンスに加え、サンドリーナを鼓舞しながらダンスを教える指導力も必見だ。アソシエイト・プロデューサーのレイチェル・チェンは「シュウは生まれつきのプロのパフォーマーね。彼女が映画のアフレコをしている時、実際に踊っているわけではないのに、まるでクラスで教えているかのように自然なセリフ回しをしていた」と話す。サンドリーナは役作りのために4カ月間、集中したダンスレッスンを受けてから撮影に臨んだ。撮影監督のディラン・ドイルは、ミシェル・ゴンドリーと仕事をした経歴を持つフランス人撮影監督。チャン・ロンジー監督とコマーシャル撮影の仕事をしたことがきっかけで親睦を深め、今回の作品で、再び一緒に映画を作ることになった。2人は協力してホアン・ユィシアンの世界を掘り下げる試みを進め、創造力に富んだビジュアルスタイルを生み出すことに成功した。 http://www.moviecollection.jp/movie/detail.html?p=3473