『最後の晩餐』by大和晶 毎日密かに届けられる、彩り豊かな手作り弁当。高校時代の純愛を育む小道具としてはありがちだけど、だからこそ懐かしく初々しい。ただし、ここでのお弁当の作り手は男の子リー・シン。無言のまま、ちょっぴり顔をほころばせて食べるのは、女の子チャオチャオ。この逆転構造が、微笑ましくも現代感覚にピッタリで、思わずニヤリとしてしまう。 さて、いつしか恋人同士となった2人は、リー・シンは一流シェフを、チャオチャオは食器デザイナーを目指して切磋琢磨。彼女とずっと一緒に人生を歩むつもりのリー・シンは、ある日、思い切ってプロポーズする。ところが、返ってきたのは「5年後、もしお互いが独身なら結婚する」という、予想もしなかった別離契約。茫然としつつ受け入れるリー・シンを残し、チャオチャオは本格的な勉強をするために上海へと旅立ってしまう。 5年後。ここからが本番だ。今や三つ星レストランの人気シェフとなったリー・シンの電話で、2度目のプロポーズを期待して北京に戻ったチャオチャオを待っていたのは、リー・シンの脇で微笑む美しい婚約者だった。落胆しつつも、ここで引き下がっては ...