『それでも夜は明ける』映画メモ 御木茂則(キャメラマン)『それでも夜は明ける』(スティーブ・マックイーン 13)むきだしにされる人の醜さ、支配者の気分で命を奪われる、まともな価値観は一切通じない地獄世界。『それでも夜は明ける』は19世紀のアメリカの北部で拉致をされ、南部で12年間奴隷にされていた男の実話を題材にしてます。オープニングからワンカットワンカットを観るごとに映画の世界へ引き込まれて、心が響き揺さぶられる映像が続きます。観る側には決して見方を強制はしない、観る側へ倫理観価値観社会観、、、人間性を問いかけるのが映画です。2時間15分、まったく中だるみすることない濃密な映画体験でした。日本では映画祭以外は未公開の映画『ハンガー』は、今作のスティーブ・マックイーン監督がIRAの闘争を題材にしたデビュー作。この映画を幸運にも劇場で観たときの衝撃は今でも忘れられません。人の心と身体の両方への与えられる痛みの表現力が卓越してたことを思い出します。今回の作品はその痛みの表現が更に洗練され、理屈抜きでダイレクトに映像が心に訴えかけてくる力がありました。邦題はイマイチ、原題『12YEARS A SLAVE』。