第67回カンヌ国際映画祭レポート その1 by大和晶 第67回目を迎えたカンヌ国際映画祭は、去る5月14日、モナコ公妃となった伝説の銀幕スター、グレース・ケリーをニコール・キッドマンが演じる『グレース・オブ・モナコ 公妃の切り札』をオープニング作品に、会期12日間の幕を開けた。今年のコンペティション部門の審査委員長を務めるのは、ニュージーランドの監督ジェーン・カンピオン。1993年に『ピアノレッスン』で、女性監督としては唯一、最高賞パルムドールを獲得している。一方、今回のコンペ部門正式上映作品は18本。そのうち、自身のルーツという奄美大島を舞台にした『2つ目の窓』の河瀬直美監督に、『ワンダーズ』のイタリア監督アリーチェ・ロルバケルと、女性は2人だけ。とりわけ、2007年に『殯の森』で、すでに次席グランプリを手にしている河瀬監督にとっては、次なる目標はパルムドールしかない。言ってみれば、この“女の闘い”。どういう結果が出るか、興味津々である。 前半戦で最も高評だったのは、ヌリ・ビルゲ・ジェイラン監督の『ウィンター・スリープ』だ。3時間16分という長尺のせいか、 ...