「6/28公開シネフィルアジア激賞映画はこれです!」脚本を兼ねた監督最新作「her 世界でひとつの彼女」で、第86回アカデミー賞脚本賞を受賞したスパイク・ジョーンズ。「マルコヴィッチの穴」で、衝撃的な映画監督デビューを飾って以来、その独創的なビジュアル世界と、キュートな登場人物が織りなす“少し不思議”なドラマ性で、映画ファンを魅了し続けるジョーンズ監督が、最新作で取り組んだのは「人間と人工知能との恋」という、タイムリーな題材だ。ただし、テクノロジー社会への警鐘でもなければ、現代人のコミュニケーション不全に対する皮肉でもない、王道のラブストーリーに仕上げた点に、彼の人間性と監督としての成熟が受け取れる。最高傑作の呼び声も高い本作に至る「現在・過去・未来」を通して、奇才スパイク・ジョーンズを徹底解析する。(取材・文/内田涼)映画は近未来のロサンゼルスを舞台に、人工知能OS「サマンサ」の知的で魅力的な声にひかれ、次第に“彼女”にひかれる中年バツイチ男性・セオドアの悲喜こもごもを描いた。「Siri」が誕生するはるか以前、約10年前に本作の着想を得ていたといい「偶然、ネット上でAI(人工知能)とやりとりができるサイトを見つけたんだ。僕が『ハロー』と言えば、相手は『ハロー』と答える。『調子は?』『いいです、あなたは?』なんて会話をしながら、一瞬興奮を覚えたんだ。すぐに結局はよくできたプログラムがオウム返ししているだけと気づいたけど、もしOSが完全な意識をもった存在なら、人間とどんな関係性を築けるんだろうと、ストーリーを発展させた」と明かす。「映画が完成すると、こうしたインタビューを受けるんだけど、どうしてもテクノロジーの進化みたいな話題になりがちで、そのたび僕はフリーズしちゃうわけ。なぜなら、セオドアとサマンサの物理的な関係はストーリーの“背景”でしかないからね。両者の愛や結びつきを多角的に描くことで、人間関係における願望や恐怖という、普遍的なテーマに迫りたかった。好きな相手に、いつまでも好意を持ってほしいという気持ちや、逆に相手や自分が変わってしまう怖さというのは、いつの時代も変わらないから」詳細は、下記まで! - 映画.comhttp://eiga.com/movie/79523/interview/