フランスが世界に誇るデザイナーの人生の光と闇を描いた伝記映画「イヴ・サンローラン」主演の若手俳優ピエール・ニネが8月8日来日し、都内のホテルで会見に応じた。「サンローランも愛した日本に来れてうれしいです。礼儀を重んじる国だと聞いていましたが、実際に来てみて、日本の方のエレガンス、優雅さを感じました」と初来日の印象を語った。21歳で史上最年少のコメディ・フランセーズの準座員となり、舞台でキャリアを積んできたニネは、その確かな演技力で本作主演に抜てきされ、若かりし頃のサンローランの生き写しのような容姿や佇まいが、本国で大きな注目を集めた。「サンローランが何もないところから帝国を築いていったのかが映画の見どころ。ドラッグやアルコールに依存していたダークな面も描いています。彼は頭脳明晰で、時代を先取りするビジョンを持っていた。そして孤独の痛みを芸術や創造に昇華した」と天才デザイナーの生き様を語る。サンローランに近づくため、iPodでインタビューを毎日3~4時間聞いて口調を真似たり、デッサン、身のこなしかたなど、専門のコーチから撮影前に5カ月半にわたる訓練を受けたという。役作りを通してサンローランとの共通点を見つけられたかと問われると、「比べるのはおこがましいですが、私も若いときに俳優になることを決意しました。若くして進むべき道が定まった、そういう早熟性が共通点」と答えた。主演最新作のスリラーを2週間前に撮り終えたそうで、将来は「カメレオンのような俳優になりたい」と抱負を語る。俳優業のほか、テレビシリーズの脚本、監督も務めるなどマルチに活動している。映画製作への意欲もあり、「さまざまなことに目を向けて、イニシアチブを持つことが大事だと思う」と今後の活躍に大きな期待がかかる。映画は公私共にサンローランのパートナーだったピエール・ベルジェ氏が全面協力し、貴重なアーカイブ衣装を用いて製作されたイヴ・サンローラン財団公認の作品。ファッション界のトップに立ちながらも酒、ドラッグ、セックスにおぼれたサンローランの苦悩や、ベルジェ氏との深い愛、女性との三角関係を描く。「イヴ・サンローラン」は9月6日から角川シネマ有楽町、新宿武蔵野館ほか、全国で公開。 映画.comhttp://eiga.com/news/20140808/19/