鶴田 法男監督日誌「8月6日。今年3月、下記のラジオ番組で、1996年の大失態を公にしました。クランクインした映画の脚本が理解出来なかったので私は一週間で撮影ストップさせてしまったのです。そして、多くの関係者にご迷惑を掛けたので監督引退をしたのです。その作品は当時では低予算でしたが、それでも5~6千万円の予算だったはずで、それをストップさせたのですから私の罪は非常に大きいと思いました。撮影ストップに至った理由は、その脚本家さんがプロット(あらすじ)とまったく異なる脚本を書き上げてきて、プロットに戻るように要望しても聞く耳を持ってもらえず、私は脚本を理解出来ないままにクランクインしてしまったこと。そして、クランクイン直前直後に「このままでは撮影ストップさせることになりかねない」と危険信号を制作プロデューサーに吐露したものの、「それは困る。頑張ってくれ」と言われ続けて撮影を進めてしまったことが、かえって最悪の事態を招いてしまったわけです。出資者の下請けプロデューサーであるその人物としては、ストップさせれば立場もないしお金も入ってこない、しかしイン直前直後で監督を交代させるのはリスクが大きすぎるので私に「頑張ってくれ」と言い続けた。そのため、私はかえって切羽詰まってしまった。結果、最悪の撮影ストップ。すると今度はそのプロデューサーは「お前が悪い」と私を責める。さらに脚本家はネット上に私の本名は記さないものの「T監督がプロ意識を失ったので自分の作品が製作中止になった」と書き込む。それほど親しくもない業界関係者にも知られることになり、「何かあったのですか?」などと興味本位だけで電話を入れてくる連中もいて、どんどん追い詰められてしまいました。「プロットと異なる脚本では撮影できない」と監督として早々に判断していればこんなことにはならなかったので、私のせいで皆さんにご迷惑を掛けたのは間違いなく「これはもう死ぬしかないな」と真剣に考えていた時期もありました。しかし、幸い家族や親しい友人の支えもあって現在に至っております。あれから18年が経ちましたが、「どんな仕事のミスも命で償うことではない」と思いますし、「ミスを犯した人物を、自死させるまで追い詰めてはいけない」とも思います。日頃の鬱憤を晴らすように人を叩いても何も生まれないです。問題が起きたとき誰が悪いかを追求する必要はあるでしょう。しかし、それがある程度ハッキリしたら、それを糧にして次のステップに踏み出すことを考える。それが人々の幸福と社会の発展をもたらすと思うのです。辞意を表明しても認められず、様々にバッシングを受けた笹井芳樹さんのニュースを目にして、かつての自分の100倍、200倍の辛さだったのだろうと思いとても胸が痛み、どうしてもひとこと記しておきたくなりました。http://www.tfm.co.jp/links/index.php?itemid=77136&catid=1131&catid=1129- ゆうちょ LETTER for LINKS(レター・フォー・リンクス) - 羽田 美智子 - TOKYO FMhttp://www.tfm.co.jp/links/index.php?itemid=77136&catid=1131&catid=1129