昨年のべネチア国際映画祭で、ドキュメンタリー映画として同映画祭史上初の金獅子賞(最高賞)に輝いた「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」。公開を前にジャンフランコ・ロージ監督が来日し、その撮影の過程と本作に込めた深い愛を語った。永遠の都・ローマを囲む全長約70キロ、1日の交通量16万台を誇る環状高速道路“GRA(グラ)”。その周辺に暮らす人々――お城に暮らしブルジョアを装う没落貴族、明るくたくましく生きる車上生活の両性具有者、日々、救急車でGRAを巡回し、仕事の合間に母親の面倒を見る救急隊員など、都市の中心から「こぼれ落ちた」者の日常を映す。ロージ監督自身、北アフリカ出身で海外での時間が長く、ローマにとって“よそ者”。イタリアの国民的作家カルビーノの「見えない都市」(マルコポーロが語り手として架空の都市について語る小説)を片手にGRA周辺を巡る中で「ローマっ子が見ても、ここがどこなのか分からなくなるような街の姿――想像上の地図とも言うべき構図が頭の中に浮かび上がってきた」という。「GRA建設当初はこの辺に住む人も少なかったけど、この半世紀で人が増え、逆説的に、いまやGRAこそが“NEW ローマ”であり、この大都市の中心と言えるようになった。そして、その構図はイタリアのメタファーでもある。祖国イタリアはいま、アイデンティティを失いかけている。でもここに登場する人たちは強いアイデンティティや自分の過去との結びつきを持って生きているんだ」、、、「ローマ環状線、めぐりゆく人生たち」は8月16日より公開。詳細は下記まで! 映画.comhttp://eiga.com/news/20140815/7/