「美女と野獣」 「ジュヴォーダンの獣」のクリストフ・ガンズ監督の作品なのでもっとアクションよりかと思ったら意外にラブ・ストーリー。 ベルが能動的な女性になっているのはディズニー版とも共通する現代化。監督としては野獣がなぜ野獣になってしまったかを描こうとしたそうな。そこにも超自然的なラブ・ストーリーが絡んでいるという設定にしてあるのが、ミソ。ジブリ好き日本映画オタクの面目躍如といったところ。参考にしたのが「大魔神 怒る」だそうな。 面白かったのは、ベルの時代をナポレオン一世時代に、野獣が人間だった頃をそれより300年ほど前に設定したところ。19世紀に入ったばかりと16世紀ころ。近代市民社会の始まりの頃と絶対王権確率の頃。封建王制がいいとはいわないけれど、物語的にいえば市民革命後に帝政をしいたナポレオン一世時代というのは、商人が財力を蓄えそれをもとに一種の"貴族"階級的特権を手にした時代。ベルの一家はまさにそんな商人貴族で、ベル以外の家族たちはお金を持っていることが身分保証になると考えている。それに対して野獣が人間だった頃は超自然の神聖なる存在があり、目に見えない形にならない感情=愛がお金などの物質より上位に存在していた、ということにしている。と、思う。どうも考えすぎみたいだが。 この二つの時代の対比と美女と野獣の存在のギャップが、この21世紀版「ベルとビースト」の見所ではないかと私は思う。