『6才のボクが、大人になるまで。』by大和晶 時間は、一瞬たりとも滞ることなく流れ続ける。そんな当然の真理を、これほど強烈に意識させられたことはかつてなかった。同時に、12年間にわたる1人の少年の成長と、彼を取り巻く家族の変遷を、固唾を呑んで追いかけた経験も。 『恋人までの距離(ディスタンス)』で始まるビフォア・シリーズで知られるリンクレイター監督が、同じ主要キャストで12年間にわたり撮影を続行。この無謀とも言える撮影スタイルで、誰も観たことのない画期的なファミリー・ドラマを完成させたのだ。主人公は、グリーンの瞳を持つ愛くるしい6歳の少年メイソン。シングルマザーの母と姉の3人暮らしだ。その母がキャリアアップのために大学に通うことになり、テキサス州からヒューストンに転居。その頃、1年半ぶりにアラスカから戻った父と再会し、楽しいひと時を過ごした。やがて母が再婚。だが、アル中の義父の暴力で、母はメイソンと姉を連れて着の身着のまま逃げ出す。さらに、大学の教師となった母に新しい恋人が。一方、ミュージシャンの夢を諦め保険会社に就職した父が再婚し、子供も生まれる。12年間という歳月が家族にもたらす様々な変化。その中で、メイソンは多感な思春期を送り、アート・フォトグラファーを目指す青年へと成長していく。 映画は、ささやかな日常の断片を切り取り丁寧に積み重ねることで、その時々のメイソンの感情の綾をセンシティヴに描出。まるで、彼やその家族のすぐ側で、同じ空気を吸って暮らしているような親密な臨場感で、映画を観ていることさえ忘れてしまいそうだ。11月14日よりTOHOシネマズシャンテ、新宿武蔵野館ほかにて全国ロードショー2014年/アメリカ映画/2時間45分監督・脚本:リチャード・リンクレイター撮影:リー・ダニエル、シェーン・ケリー美術:ロドニー・ベッカー出演:エラー・コルトレーン、パトリシア・アークエット、イーサン・ホーク、ローレライ・リンクレイター配給:東宝東和c)2014 boyhood inc./ifc productions i, L.L.c. aLL rights reserved. 公式サイト:http://6sainoboku.jp/