映画評:深作 健太『6才のボクが、大人になるまで。』ずっと気になり続けて来た監督、リチャード・リンクレイター。「恋人たちの距離」から「スクール・オブ・ロック」まで。ノンジャンルのようで、確実に何かにこだわり続けている人。僕は「ファーストフード・ネイション」が大好きです。映画は〈時間芸術〉だ。僕たちは、一瞬という永遠の〈現在〉を脚本化し、演出し、撮影し、編集し、とても収まりきれないはずの人の生を二時間前後のひとつの作品にまとめあげる。僕が映画監督になって12年。僕たちを取り巻く映像メディアの環境は激変したけれど、変わらないものは確かに、今、ここに在り続ける。二年前、広島で「夏休みの地図」を撮って。舞台がある度に観に来てくれてる子達がいて、今では僕より背が高くなった子もいたりして。たった二週間の撮影だったのだけど、それでもあの夏は永遠で、少年だった彼らは、ずっとあの時のまま、映画の中に生きている。12年間ずっと、一人の少年の成長を追い、35ミリフィルムを回し続けて来た。リンクレイターの最新作は、そんな感傷さえも優しく包み込んで、OK 先へ進もうぜ!と僕たちの背中を押してくれる。映画はいかに撮るか、ではない。映画はナニを撮るか、なのだ。変化する流れを嘆いてばかりいても始まらない。僕たちは作品という、点しか作れない。だけどその点は、大きく流れを変え得るのだ。ひさびさに映画の事がたまらなく愛しく思えた、僕にとって、たぶん2014年のベストワンです。2014年12月9日 (深作 健太)http://6sainoboku.jp4人の俳優が12年間家族を演じた。映画史上初の挑戦から生まれた感動の物語。