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失われた作品はもう取り戻せません。 昨年のアカデミー賞受賞作「アーティスト」が記憶に新しいサイレント映画。制作されていたのはトーキー映画が出てくるまでの数十年でしたが、それでもハリウッドで作られた作品は1万1000本近くに及ぶとか。当時の作品が現代まできちんと保存されていたら、膨大なコレクションになっていたことでしょう。しかし残念ながら、そのうちたった3割しかこの世に残っていないことが発覚しました。しかも、オリジナルの35mmフィルムで存在するのは全体のたったの14%、数にして1,575本しかないそうです。 アメリカ議会図書館の2年に渡る研究で明らかになったこの事実。原因は、製作スタジオの管理の問題でした。当時、多くのスタジオが作品を保管するという発想に至らなかったそうで、サイレント全盛期にフィルム・アーカイブを作っていたのはMGMだけでした。(ちなみに一番酷かったのがパラマウントで、30年前になってようやく自社のタイトル保存に乗り出したそうです。)もちろん、スタジオだけが悪いわけではなく、火事などの自然災害が原因で失われた作品もあります。原因がどうであれ、当時作られた映画の大多数を見れないということは、文化と芸術において計り知れない損失でしょう。 サイレント映画の魅力について、研究に携わった歴史家で公文書保管人のデービッド・ピアースさんはABCニュースにこのように語っていました。 (サイレント映画は)ストーリーを伝える手法としては過去のものだけど、当時の名作が観客に与える感動は現代でも色褪せない。映画からセリフを抜くと、その物語を視覚的要素だけで伝えることになるため、携わるクリエーター陣はあらゆる工夫をする必要があった。そんな表現上の制約があったからこそ、名作ができたと思っている。 アメリカ議会図書館の次なる取り組みは、失われたとされる作品を修復すべく、海外や個人のコレクションの保存団体を調査すること。しかし、ハリウッドでその7割が消えてしまっていたという事実を踏まえると、あまり多くを期待できなさそうです。 サイレント映画の全盛期は短かったものの、チャップリンやD.W.グリフィスといった後世に残る名監督の作品が輩出された時期でした。それらに並ぶ名作があったかも…と考えるととても残念ですね。 Image: Shutterstock/VectorPic [The Guardian] ASHLEY FEINBERG(米版/たもり)
ベン・ウィショーがフレディ・マーキュリー役に決定(C)AFLO 『007 スカイフォール』のQ役で人気を博したベン・ウィショーが、「クイーン」の伝説のヴォーカリスト=フレディ・マーキュリーの伝記映画でフレディ役に決定した。監督はデクスター・フレッチャーが務める。 【関連】エルトン・ジョンの伝記映画、トム・ハーディがエルトン役に決定 Deadlineによると、同作は映画『ワールド・ウォー Z』(13)や『アルゴ』(12)などの製作総指揮を務めたグレアム・キングが予てより温めていた企画。当初、フレディ役は『レ・ミゼラブル』(12)や『ヒューゴの不思議な発明』(12)のサシャ・バロン・コーエンに決まったが、同プロジェクトにかかわる「クイーン」メンバーのブライアン・メイとロジャー・テイラーの意見もあり、降板することになった。ベンは「クイーン」のメンバーよりフレディ役のラブコールを受けており、11月に歌を含むオーディションを済ませていたようだ。 監督に決まったデクスター・フレッチャーは、ガイ・リッチー監督作『ロック、ストック&トゥー・スモーキング・バレルズ』(99)や『キック・アス』(10)などに出演するイギリス人俳優。同作が監督作3本目となる予定。前作ではプロクレイマーズの同名曲のミュージカル劇を映画化した『Sunshine on Leith(原題)』を監督しており、高評価を得ている。 Deadlineによると、フレッチャー監督は「クイーン」のメンバーとミーティングを重ね、来年には撮影を始めたいと考えているそうだ。ストーリーはバンドの成長を描きながら、フレディ率いるバンドが圧巻のパフォーマンスを披露した、1985年の「ライブエイド」コンサートへと続くという。脚本を手掛けるのは『クィーン』(07)や『ヒア アフター』(11)のピーター・モーガン。ロバート・デ・ニーロや『ミート・ザ・ペアレンツ』シリーズのジェーン・ローゼンタール、『ワールド・ウォー Z』のティム・へディントンらが製作に携わる。 使用許可が下りている楽曲には「クイーン」の代表曲『ボヘミアン・ラプソディ』や『ウィ・ウィル・ロック・ユー』、『ウィー・アー・ザ・チャンピオン(伝説のチャンピオン)』などが含まれているということで、ベンの歌唱力に期待したい。