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映画『革命の子どもたち』 公開に寄せて なんと言えばいいのだろうか。それは、なにか、居住まいを正されるような、ある種、厳粛な光景だった。スクリーンの中で、その人は、静かに淡々と、しかし、内なる怒りをにじませながら、観客がいるはずのこちら側をじっと見つめ、これから上映される映画の監督である自分が、なぜ、いま この瞬間に、上映会場である この場に居合わすことができないのかについて、流暢な英語で語り続けていた。 夜の22時。足立正生監督の復帰第一作となった『幽閉者 テロリスト』の公式上映会場。ぼくたち観客は、水を打ったように静かに、本篇に先立って上映されている、足立監督から映画祭事務局に送られてきたビデオ・メッセージに観入っていた。 足立監督は当初、ぼくらと同じように、ゲストの一人として参加することになっていた。 足立さんが、ふたたび海を渡る。しかも、ドイツに! その現場に立ち会うことができる──。それは、特別にスリリングな体験となるはずだった。だが土壇場で、ゲストは足立さんから、若松プロ映画の研究者である平沢 剛さんに変更となったのだった。やっぱり無理だったか・・・・・・。発表を知り、残念に思ったものだった。 外務省にパスポートの発行を拒まれた経緯を話したのち、足立さんは、こう言葉を結んだ。 「そういうわけで私は、そこに行くことができなくなりました。しかし、私の映画は、海を越えて、いま すでに そこにあります。映画は、国境を越える。それを止めることは、だれにもできないのです。たとえ、私の渡航を阻んだ者たちにさえも」(主旨要約=筆者) 感動的なスピーチだった。監督が自分の映画とともに海外に出かけていくということの意義についても、あらためて思いを巡らさずには いられなかった。 今回の映画祭のためだけに つくられた、もう二度と観ることはできないであろう そのビデオ映像は、自分にとって、映画祭全体を通じての、ベスト・ワンの「映画」となった。 (『ドイツ ニッポン・コネクション国際映画祭 2007 参加レポート』より) 〇若松孝二監督が公開を熱望しておられたという、映画『革命の子どもたち』(シェーン・オサリバン監督) 日本公開に寄せて、この映画の出演者であり、また若松プロダクション同人でもあった足立正生監督について日本映画監督協会公式サイトに書いた文章を、編集担当者の許可を得て こちらにアップしました。 (『ドイツ ニッポン・コネクション国際映画祭 2007 参加レポート』の全文は、こちらをご覧ください。http://www.dgj.or.jp/feature/article/000371.html ) 〇映画『革命の子どもたち』は、関東地区ではテアトル新宿とシネマジャック&ベティで公開中、東海地区のシネマスコーレおよび 関西地区のテアトル梅田と京都シネマでは、いよいよ明日 7月12日から公開されます。ぜひ ご覧ください。 2014年 7月11日 旦 雄二
先日、お伝えしたシネフィルアジア連載コラムついにスタート!!! 映画評論家サトウムツオさんの映画と音楽の関係を解いた 「映画は音楽だ! YouTube世代に贈る、ぼくらの映画的な名曲アルバム100選」です。 YouTubeで映像や音楽を楽しみながら、その映画にまつわる逸話などが電子書籍的に読める。 新企画です! はじめに テリー・ギリアム監督を『ラスベガスをやっつけろ』(98年)でロンドンで取材したとき、すべての曲の音楽使用料が、日本円にして1億5,000万円もしてブッたまげた。... http://cinefil.asia/media/17062892 第一回は『2001年宇宙の旅』(68年) ♫ヨハン・シュトラウス「美しき青きドナウ」 http://cinefil.asia/media/17062909 オリジナル連載を読みたい時は、カバーより新しいタグ、「#シネフィルアジア」にお入り下さい…。